dLocalは新興市場におけるクロスボーダー決済サービスを提供するフィンテック企業です。設立以来急速に成長を遂げ、ナスダックにも上場しています。dLocalの事業モデルと財務実績を振り返り、今後の成長性について考えてみましょう。
1. dLocal(DLO)会社概要
dLocal Limited(以下、dLocal)は、ウルグアイのフィンテック企業であり、世界の商業者と新興市場をつなぐクロスボーダー決済を提供しています。ウルグアイ初のユニコーン企業となり、2021年にはNASDAQに上場し、市場評価額は9.5億ドルに達しました。
1.1 ビジネスモデルとサービス
dLocalは、ワンプラットフォームのAPIを通じて、企業にグローバルな支払いソリューションを提供しています。クロスボーダーやローカルの取引をサポートし、600以上のローカル支払い方法を提供しています。これにより、企業は新興市場での決済を安全かつ効率的に行うことができます。
dLocalの価値は、新興市場での課題を解決し、スムーズな決済体験を提供することにあります。通貨の交換レートや地域特有の支払い方法など、異なる要素が絡み合う新興市場において、dLocalはこれらの課題を克服することで、企業の事業拡大を支援し、新興市場への参入の障壁を下げる役割を果たしています。
1.2 本社とモンテビデオのビジネス環境
dLocalの本社はウルグアイの首都、モンテビデオに位置しています。モンテビデオはウルグアイでも最も重要なビジネス拠点であり、経済の中心地として知られています。ここに本社を構えることで、dLocalはビジネス機会に近く、顧客との密な関係を築くことができます。
1.3 業績と将来の成長性
dLocalは、設立以来急速に成長しました。2021年にはNASDAQに上場し、市場評価額は9.5億ドルに達しました。取り扱い総額(TPV)や収益の増加も報告されており、将来の成長性が期待されています。新興市場の成長も著しいため、dLocalはその市場の機会を活かし、より多くの商業者にサービスを提供することで成果を上げています。
dLocalの業績と将来の成長性は、企業の事業拡大を支援しており、新興市場への参入を促進しています。dLocalはフィンテック業界において重要な役割を果たしており、クロスボーダー決済分野でのリーダーとしての地位を確立しています。
2. dLocalの事業モデル
dLocalの事業モデルは以下の要素で構成されています。
プラットフォームの開発と提供
dLocalは、One dLocalという独自のテクノロジープラットフォームを通じて、グローバル企業のマーチャントが新興国市場でのオンライン決済を安全かつ効率的に行うことを支援しています。このプラットフォームは、マーチャントが新興市場でビジネス展開を容易にするために開発されたものであり、決済処理サービスを提供する役割を果たしています。
顧客からの手数料収入
dLocalの収益の主な源泉は、プラットフォームを利用する企業からの手数料です。dLocalは、クロスボーダーおよびローカルの決済取引に対して手数料を請求し、これによって収益を得ています。手数料は、取引の承認に基づいて定額または定率で計算されます。
新興市場での決済の支援
dLocalは、新興市場での決済の複雑さを解決し、顧客が先進国市場と同様のレベルでオンライン取引を行えるように支援しています。彼らのソリューションは、マーチャントが現地の売り手やパートナーに対して現地通貨で支払う簡単な方法を提供しています。
ローカルな決済方法に対応
dLocalは、700以上の新興国のローカルな決済方法に対応しています。このため、マーチャントは現地の消費者が利用する決済手段で支払いを受け入れることができます。例えば、ナイジェリアでMicrosoft製品の販売を容易にするための機能や、アルゼンチンでドライバーが運賃を徴収するための銀行振り込みや分割支払いの機能など、様々な業種の企業と連携しています。
dLocalの事業モデルは、テクノロジープラットフォームと手数料収入に基づいており、新興国市場での決済を効率化する役割を果たしています。顧客からの支持を得ながら、売上の増加と収益の向上を実現しています。
3. 事業拡大の歴史と現状
dLocalは、設立以来、持続的かつ迅速な事業拡大を遂げてきました。以下では、dLocalの事業拡大の歴史と現状について説明します。
事業拡大の歴史
dLocalは、グローバルな決済プラットフォームとしての地位を確立するために、さまざまな戦略と取り組みを展開してきました。その中で特に注目すべき成果を以下に示します。
-
クロスボーダー取引の成長と地域間取引の拡大:dLocalは、インフラ整備に積極的に投資し、グローバルな送金パートナーやマーケットプレイス加盟店のニーズに応えるための準備を進めてきました。また、新規ライセンス取得や新規決済事業者登録など、各地域での展開も行っています。特に、エジプト、アルゼンチン、エクアドル、ドミニカ共和国、ケニアなどでの新規展開により、クロスボーダー取引と地域間取引の伸長を促進しました。
-
スマート・ルーティングの推進による効率化:dLocalはスマート・ルーティングの導入に注力し、AIを活用してトラフィック・ルートを最適化しました。これにより、高いコンバージョン率を達成し、事業効率を向上させました。
事業拡大の現状
dLocalは、以下の数値を通じてその事業拡大の成果を報告しています。
- 2024年第1四半期の総取引高 (TPV) は、53億ドルと過去最高を記録し、前年同期比で約50%増加しました。
- 2024年第1四半期の売上高は1億8,400万ドルであり、前年同期比で30%増加しました。
- 2024年第1四半期の調整後EBITDAは3,700万ドルであり、前年同期比で19%減少しました。
特に、次の地域でdLocalは好調な業績を示しています。
- ブラジルでは成長率が89%であり、堅調な実績を挙げています。
- メキシコでも成長率が50%となり、競争優位性を示しました。
また、クロスボーダー事業も成長しており、2024年第1四半期の総取引高は24億ドルとなり、前四半期比で9%の成長を達成しました。さらに、地域間取引も前年同期比で80%に近い成長を達成しました。特に、エジプト、南アフリカ、トルコ、フィリピンでの増収が顕著です。
dLocalは引き続き、持続的かつ収益性の高い成長を実現するため、様々な戦略的な取り組みを展開しています。AIの活用や新たな市場への進出など、さまざまな取り組みを通じて、業績の向上を図っています。
次のセクションでは、dLocalの財務パフォーマンスとその分析について詳しく見ていきましょう。
4. 財務パフォーマンスと分析
dLocalは2024年第1四半期において、過去最高の取扱総額(TPV)を記録し、特にEコマース、送金、ライドヘイリング、ソフトウェアサービスなどの分野で顕著な成長を遂げました。しかしながら、売上総利益は横ばいであり、調整後EBITDAは減少しました。
4.1 四半期の損益計算書の結果
この四半期の損益計算書の結果は、以下の要因によって説明されます:
- 一部の大口加盟店による価格再交渉や契約更新のタイミングがあり、これが収益の伸びに影響を与えました。
- 第1四半期は一般的に季節的に低調な時期であり、Eコマースや広告の垂直市場における収益化の低下が見られました。
- 予定されていた重要な新規立ち上げが加盟店によって延期されたこともあり、予想されたボリューム立ち上げが遅れ、テイクレートの低下につながりました。
4.2 dLocalの投資と将来の展望
さらに、dLocalは将来の成功を見据えて、能力構築や内部機構、テクノロジーへの投資を増加させることを決定しました。これらの投資は将来の成長の戦略的な一環であり、売上総利益の回復を確信しています。
第1四半期の結果は、毎四半期の業績が改善され、3月には過去最高の粗利益を記録したことを示しています。以下の成果がdLocalが提供する高品質なソリューションの一環として得られました:
– AIを活用したスマート・ルーティング
– 堅牢なフォールバックシステム
– プロッド防止エンジン
dLocalは将来に向けて非常にポジティブな展望を持ち、2024年の計画の達成に向けて努力し続けています。長期的な収益性を追求し、投資家にも信頼を与えることを目指しています。
5. 競合他社との比較
dLocalは競合他社と比べて、優れた商品とサービスを提供しています。特にエジプト、ブラジル、メキシコの市場での好調な業績が競争優位性を示しています。
エジプト市場の競争力
エジプト市場において、dLocalは他の競合他社と比べて優位性を持っています。以下はその理由です:
– 新たなライセンスの取得とインフラ整備: dLocalはエジプト市場において、グローバルな送金パートナーとマーケットプレイス加盟店のニーズに対応するための新たなライセンスの取得とインフラ整備に注力しています。これにより、エジプト市場での事業拡大を実現しています。
ブラジル市場の競争力
dLocalはブラジル市場でも他の競合他社と比べて優位性を持っています。以下はその理由です:
– 成長を示す売上高: dLocalはブラジル市場において89%の成長を記録しています。これは、Eコマース、送金、ライドヘイリング、ソフトウェアサービスなど様々な業種における大幅な伸びを示しています。
メキシコ市場の競争力
dLocalはメキシコ市場でも優れた業績を上げており、他の競合他社と比べて優位性を持っています。以下はその理由です:
– 堅調な成長を示す売上高: メキシコ市場において、dLocalの売上高は50%の成長を記録しています。この成長は、複数の業種にわたる堅調な成長を示しています。
以上から、dLocalは競合他社と比較して高いコンバージョン率を実現しており、エジプト、ブラジル、メキシコ市場での好調な業績が競争優位性を示していることが分かります。dLocalは優れた商品とサービスの提供に努め、市場での成長を継続しています。
まとめ
dLocalは、グローバルな企業が新興市場において決済サービスを効率的に提供できるよう支援するテクノロジー企業です。同社のプラットフォームは、多様な地域の支払方法に対応し、スムーズなクロスボーダー取引を実現しています。足許では、一時的な要因により業績に影響があったものの、長期的な成長戦略への投資を続けており、エジプト、ブラジル、メキシコなどの新興市場でも高い競争力を発揮しています。今後も、dLocalがグローバル企業と新興市場のニーズを効果的に結び付けていくことで、フィンテック分野におけるリーダーとしての地位を確立していくことが期待されます。
よくある質問
dLocalはどのようなビジネスモデルを持っていますか?
dLocalのビジネスモデルは、独自のテクノロジープラットフォームの開発・提供と、企業からの手数料収入に基づいています。新興市場での決済の課題を解決し、ローカルな決済方法にも対応することで、企業の事業拡大を支援しています。
dLocalはどのように事業を拡大してきましたか?
dLocalは設立以来、クロスボーダー取引の成長と地域間取引の拡大、スマートルーティングの推進による効率化などの戦略を展開し、急速な事業拡大を遂げてきました。特にブラジル、メキシコ、エジプトでの好調な業績が注目されています。
dLocalの財務パフォーマンスはどうですか?
dLocalは2024年第1四半期に過去最高の取扱総額を記録しましたが、売上総利益は横ばい、調整後EBITDAは減少しました。これは一部の大口加盟店による価格再交渉や季節的な要因などが影響したためです。dLocalは長期的な収益性の追求と投資家への信頼を目指しています。
dLocalは競合他社と比べてどのような強みがありますか?
dLocalはエジプト、ブラジル、メキシコの市場で他の競合他社と比べて優位性を持っています。新たなライセンス取得やインフラ整備、高いコンバージョン率、堅調な売上高の実績が、dLocalの競争力の源泉となっています。